松山市の中心部にあるは1987年の開業以来、地域に根差した診療を行っています。
治療の基本方針は歯周治療を臨床のベースに、できるだけ天然歯を残すこととしています。
DISCUSSION
歯を残すことを第一に
患者さんとよく話し合う
東京歯科大学を1981年に卒業し、同大学補綴第二講座に入局しました。
卒業した年に大学は水道橋から千葉市に移転しましたが、祖父母の代から通院しているとおっしゃるような患者さんが多い水道橋病院での勤務に魅力を感じて希望し、3年目からは3年間水道橋病院の補綴科でお世話になりました。
将来的に地元の松山で開業したいと思っていたので、退職後は地元の先生の依頼で新居浜市の歯科医院で代診を半年間務め、週末に松山で開業の準備をしていました。
その後は第二講座の教授であった腰原好先生の紹介により東京都立多摩老人医療センター(現・東京都保健医療公社多摩北部医療センター)で半年間高齢者歯科を勉強させていただき、1987年に当院を開業しました。
略 歴
- 1981年
- 東京歯科大学卒業
東京歯科大学補綴第二講座入局 - 1987年
- 愛媛県松山市(現所在地)にて開業
- 1996年
- 大阪SJCD 歯周補綴臨床コース 受講
- 2003年
- 東京SJCD 原宿マスターコース 受講
- 2004年
- 大阪SJCD 咬合・補綴治療計画セミナー 受講
所属団体
- JCPG 日本臨床歯周病療法集談会 会員
- インプラントフェロー・インプラントマスター
- 大阪SJCD会員(四国SJCD元会長)
TREATMENT 注力している治療
歯周治療を臨床のベースに、できるだけ天然歯を残していくことが当院の基本方針です。
大学病院勤務時代は腰原教授が総義歯のスペシャリストでしたので、総義歯に興味を持ちいろいろ教えていただきました。しかしながら徐々に義歯の限界がわかってくるにつれ、歯を保存することの大切さをより感じるようになりました。
歯周病について勉強しようと、先輩の紹介で当時日本歯科大学歯周病科の岡本浩先生のコースを2年間受講させていただきました。
それがきっかけで岡本先生の恩師であるイエーテボリ大学でリンデ教授の教えを受ける機会にも恵まれました。
開業以来、リンデ教授が提唱するプラークコントロールが臨床の基本を忠実に実践しています。
当院では10年以上メンテナンスに通ってくださる患者さんも珍しくありません。患者さんの健康状態や生活背景は変化しています。その都度どう治療を進めるのが良いか患者さんと話し合い寄り添うことを大切にしています。
COMMUNITY BASED 地元に密着し患者さんに寄り添う診療
少子高齢化のためかもしれませんが、当院の患者さんはお子さんより長年通われている患者さんが多いように思われます。同じスタディーグループの先生や患者さんの紹介により、大洲市や今治市など遠方からの患者さんもおられます。
当院の価値観や診療の流れを理解していただけるよう丁寧な説明を心がけています。
現代はネット上でいろいろな情報を得られますが、中には間違った情報や患者さんが勘違いするような情報も溢れています。たとえばインプラント治療は優れた治療法ですが、まだ不透明な部分や適応症もあり、安易に抜歯してインプラントをお勧めするのではなく、天然歯の保存を優先することが大切だと思っています。
どうしても保存できないと判断した場合もインプラントよりも自家歯牙移植が第一選択と考えています。
患者さんが頭では理解していても心情的に納得できないまま抜歯すると歯を抜かれたと感じてしまいますので、納得していただいてからの抜歯を心がけています。
BRUSHING
歯科衛生士に
丸投げしないこと
これは日本の歯周病治療のスペシャリストである岡本浩先生や名古屋市で開業する清水雅雪先生から指導されたことですが、絶対に歯科衛生士に丸投げせず、歯科医師が最初に患者さんにモチベーションを行うことということを大切にしています。
当院の診療は、緊急処置の後はブラッシング指導が基本ですが、磨いていることと磨けていることの違いということを患者さんに最初に理解していただかないと、後々の指導がつまずきがちになってしまいます。
空き時間ができたからではなく、きちんと時間を取ってお口の中の状況や歯周病のこと、治療の流れについてお話しします。
適切なブラッシングで歯肉の変化した写真や治療経過の症例写真をお見せして治療を進めていく上でなぜブラッシングが大切かという説明をしなければ患者さんには伝わらないと考えています。
GUIDANCE 歯科衛生士の100%磨き指導
100%磨きといって、歯科衛生士自身が100%磨けるようになったプロセスをミーティングで発表させています。患者さんに100%磨くことを要求してるのではなくて、歯科衛生士がどのようなブラッシングをすればうまく磨けるかを体感することが狙いです。
歯並びは患者さんごとに違います。この場合にはこんな当て方が良いなど歯科衛生士が覚えた感覚を、患者さんに身を持って感じていただくことができたらと思います。
ただ答えを教えるのではなく、患者さんが自分で気づくように促して、きちんと歯ブラシが当たる感触を感じて理解してもらうんです。そうするとお口の中の状態も良い方向に変化していきます。一度感触を覚えるとお話をするだけで理解される方もおられます。そのためカウンセリングには十分な時間を確保しています。
NETWORK 信頼できる医師同士のネットワーク
患者さんが引っ越しをされる際、引っ越し先で同じ方針の歯科医院を探さなくて済むように歯科医師のつながりの中でご紹介させていただくことがあります。
私が所属しているスタディーグループは、北海道から九州まで全国の先生が所属しています。その中の先生をご紹介することもあれば、講演会などでつながりがある先生の場合もあります。
患者さんが同じ考えの歯科医院で継続して診てもらえますし、歯科医師にとっても患者さんの情報の引き継ぎができて安心です。
カウンセリングで患者さんご自身からこれまでの治療経過を伺いますが、あやふやな部分はこれまでの主治医から直接詳細を聞くことがあります。同じスタディーグループなら話もしやすいので情報を共有しやすいというメリットがあります。
MESSAGE
患者さんの将来のために
お願いしたいこと
EPISODE 心に残ること
長年通ってくださる患者さんとはそれぞれにエピソードがあります。他院で何年もメンテナンスに通っていたのに、突然歯を抜いて入れ歯にしなさいと言われて、どうにかなりませんかと相談してきた患者さんがいました。
実は定期的にクリーニングをしても、毎日きちんと磨けていなければそのクリーニングにはあまり意味がありません。今、その患者さんは難しい歯並びでありながら、本当に感心するようなホームケアが継続できており、7年たった現在も1本の歯も抜歯することなく経過しています。
OUTLOOK 今後の展望
開業して30年以上、自分が信じた歯をできるだけ保存するという信念はこれからも貫いていきます。同時に、知識や技術のアップデートに心がけています。昔正しかったことが今は間違っていることもあれば、その逆もありますから、勉強は続けていかなければいけません。
歯科衛生士たちにも、本を読んだり勉強会に積極的に参加したりして、定期的に通う患者さんに毎回新しい情報を提供できるように、と伝えています。また、ベテランの歯科衛生士たちの存在が大切なのはもちろん、若い世代を伸ばして院内を活性化させることも重要です。知識も技術も未熟な若い歯科衛生士たちが、どんどん成長して自信をつけていく姿を見ることは私の楽しみでもあります。私と一緒に勉強して新しいことを当院に提案してくれるようなアグレッシブな若者が来てくれるとうれしいですね。
MESSAGE 患者さんへのメッセージ
もっと早くうちに来てくれれば、ここまでひどくならなかったのにと思う患者さんはたくさんいます。特に虫歯が少ない方は、歯科医院に通うことがまれなので、知らない間に歯周病が悪化していた、というケースが多いように感じます。
お仕事が忙しかったり子育て中の方はお子さんのことを優先しがちです。当院は土足のまま入ることができ、各ユニットはパーティションで区切っています。ベビーカーを押して診療室に入ることもでき、お子さんをそばに置いて治療を受けていただけます。
歯科医院が苦手という人も一度当院に来ていただけると、マイナスのイメージを払拭できるのではと思います。将来のために、痛みなどの自覚症状がない方でも歯科医院でチェックを受けてほしいです。